風俗嬢が接客中に意識を失い、不同意性交の被害に合う事件が後を絶たない。
酒に薬を盛られたのであれば警察の摘発で済む話だったが、被害者は《意識が戻っても身体が言う事を聞かなかった》と訴えていた。
その様子は動画にも残されており、被害者が喜んで相手をしているようにしか見えないらしい。
加害者はそれを武器に同意だったと主張し、何のお咎めもない。洗脳系の個性だと思われるが、加害者の個性は何の関係もないものだった。つまり洗脳の個性を再現できるツールが発明され、流通が始まっているということだ。加害者の家宅捜索では何も見つからず、店に密偵を入れたところようやくモノが見つかった。

多くのVIP客に店内で貸し出されていたその洗脳機器は店長による開発で、呑みだけの賃金で嬢に客好みの衣装を着せたり、客の思う通りの言動をさせ、追加料金を払えば本番もヤれるらしい。数人のヒーローで根こそぎ証拠を回収して、今日のところは終了となった。

「お酒と香水と煙草のにおいだ」

出久が助手席から俺に顔を寄せ、くんくんと鼻をひくつかせて言う。
出久自身からも、出久が言うような臭いが強く漂ってくる。店内に突入した時に酒をひっかけたり、被害者の女を担いだりした時に移ったんだろう。
不快過ぎる。家に帰ったら速攻で洗いコロス。

「家ついたら、先お風呂入ってね」
「ン」

出久の言葉に流れるように出た承諾に、小さな違和感を覚えた。
俺は出久を洗うことを考えていたわけで、俺自身が先に風呂に入るなんて承諾する気はない。一緒に入るだろ普通。

そう思っても、訂正する言葉が出てこない。頭にはあるのに、発声することが出来ない。

「出久」
「あ!」

《風呂は一緒に入る》、それだけが言えない状況に俺が戸惑っていると、出久は焦ったように声を上げた。

「うわ、どうしよ…」
「何が」

信号に差し掛かり、車を停める。助手席を見ると、出久は手に持った端末をまじまじと眺めているところだった。さっきまで俺らが血眼になって集めきっていた洗脳機器だ。出久の手の中でモニターが光っている。

「1台持って帰ってきちゃった…」
「あー…」
「スタッフの人が突然暴れ出して、咄嗟にスーツに押し込んだの忘れてた…」

スーツがバラけるタイミングでそのまま荷物に紛れ込んだのか。

「本部に連絡しろ」
「うん…」

出久は端末を片手にスマホを取り出した。モニターには洗脳のレベルらしい数値が[1]とだけ表示されている。0ではないってことは、起動中なんかこれは。

「はい、すみません…」

出久は公安に電話をかけている。電話越しの相手にペコペコと頭を下げながら、助手席から腕を伸ばして車のナビをポチポチと弄りはじめた。戻るつもりか。仕方ないか。

「今からお返しに行きますので…えっと」

片道1時間のルートが車に表示され、出久は早々にナビを取り消した。
出久はそのまま後部座席へと腕を伸ばし、コスチュームケースを取る。バッテリーの確認をしているらしい。
1人で戻るってか。俺も行くだろ。

「わ、ちょ……あ、明日ですか?」

抵抗する出久からコスチュームケースを奪い後部座席へ放り投げる。出久は眉を寄せて俺を見上げたあと、電話口の方へ意識を戻した。すぐに返す必要はないらしい。

「でも……そうですか。では、明日お返ししに行きますので」

車を再び家の方へ走らせる。明日は2人ともオフだし、公安の方でなんかするか。


「これ、ひょっとして起動してる?」
「そーだろ、そのダイヤルが強さなんじゃねーの」
「なるほど……え、じゃあ僕…!どうしよ、たいへん…!」
「落ち着け。多分対象は俺だわ」

帰宅して早々、持ち込んだ洗脳機器を片手に、出久はわたわたと慌てだした。
この端末がどういう挙動をするのかは分かっていない。出久は俺と端末を見比べて、「かっちゃんが?」と納得いかなそうに呟く。

「さっきから変だったわ」
「ええ?危ないからはやく言ってよ」

俺が風呂を沸かしている間に、出久はキッチンでお茶を2杯入れている。
傍に置かれた端末の洗脳強度は相変わらず[1]のままだ。ダイヤルが1つと数個のボタンが配置され、一見は無線機のようにも見える。

「なんか命令してみ」
「えー?」

キッチンに入り、端末を覗き込む出久に覆いかぶさる。身体からは酒やら煙草やらの臭いがするものの、髪に鼻を埋めるといつもの出久の匂いがした。

「…前から、ぎゅってして」
「ン」

出久は振り返り、俺に腕を伸ばす。首に出久の腕が回ってくるのを感じながら、出久を正面から抱きしめた。出久の息遣いが聞こえる。

「……もっと強くして」
「…ん」

抱きしめる力を強めると、出久の踵が浮き、身体が密着してくる。息苦しくなったのか、耳にかかる出久の呼吸は小さく呻き声を上げた。緩めたいところだが、出久の指示に抗うことが出来ない。

「っ…、ちゅうも、して」

浅い呼吸のまま、出久がこちらを見上げて言う。俺は抱きしめる力をそのままに、出久の口に軽くキスをする。

「もっと、深いのもして」

出久は薄く口を開いて、舌を俺に見せる。強く抱きしめながら、後頭部を支えて口の中を犯した。
歯をなぞり、差し出された出久の舌を食む。俺の唾液をこくこくと飲みながら、出久は息苦しそうに顔を赤くして朦朧と視線を漂わせる。

「大丈夫か」
「…ん……」

出久はぼんやりとこちらを見上げながら、口を離した俺にまた舌を見せた。それにかぶりつきながら、全身を押し付ける。めちゃくちゃに勃起したチンコを出久に擦りつけると、出久の腰もすりすりと俺に押し付けられる。

こいつ、こういうの好きだったんか。今まで苦しめないように調整してたけど、いらんかったな。

給湯器が軽快な音をたてる。出久は俺から顔を話して、はふ、と息をつく。

「お風呂…一緒に、はいろ」
「おー…」


風呂上がり、リビングに置かれた端末をまじまじと眺める。
レベル1だと、意識を保って会話も出来る状態で、指示には従ってしまう状態らしい。
被害者たちは完全に会話も出来なくなったり、意識を失ったりしていた。レベルを上げればおそらくそうなる。

出久はコスチュームケースを開いて、中身をゴソゴソと片付け始めた。他に持ち帰ってしまったものが無いか念のため確認しているらしい。

「……」

ダイヤルを[0]に合わせる。モニターは消灯し、端末は機能を止めたらしい。俺には何の感覚も無い。

「なんか、色々持って帰ってきちゃってるかも…」

出久は注射器や粉末を床に並べながら、落ち込んだように呟いている。
元々出久の持ち物も運べるように設計してあるから、解除した時に出久が持ってたものはコスチュームケースに収納される。仕舞った場所によっては出久の私服に残ったりもする。

「明日まとめて返せ」
「うん…気をつけないとなぁ…」

端末のアンテナを出久の方に向けて、ダイヤルを[1]に回してみる。
出久には何の変化もない。

「わ、これ…衣装まで入ってる!」
「んだそれ」

コスチュームの隙間から、バニーガールのコスチュームがずるずると引っ張りだされた。
嬢が着させられそうになってたのを押収したんか。よく入ったな。

「わぁ…すご…」
「……出久」
「ん?」

出久はバニーガールのコスチュームを片手に、俺に振り向く。

「それ、ここで着てみろ」
「うん!……?!」

笑顔で頷いたあと、出久は立ち上がって服を脱ぎながら、焦ったようにこちらを見た。
パンツを降ろして素っ裸になりながら、眉を顰めてこちらを睨んで来る。

「かっちゃん、それ」
「おー、生地が伸びるんだな」
「やったな、キミ…!」

文句を言いながら、伸縮自在らしいバニーガールコスチュームを着て、ご丁寧に耳もつける。
出久の身体に張り付くように伸びた記事が、出久の乳首とちんこを浮き上がらせている。

「こっ…こういうの好きだったっけ…?」

高校の時は、恥ずかし気もなくミルコのコスチュームを着て色々と世間に晒してくれとったわけだが。
あの時の俺はまだ出久をどうこう出来る関係じゃなかったから、ズリネタにするしかなかった。

「いい機会だしなぁ…?」

10年前の俺がようやく浮かばれる時が来たってわけだな?


「おら、お前がイイようにもっと動けや」
「そ、んなっ!ずるいッ、ん゛ッ、ふぅっ」

出久は仰向けに寝た俺の腹に手を置いて、ウサギよろしく一心不乱に腰を跳ねさせている。
出久が自分でかけた大量のローションがグチュグチュ音を鳴らし、かき混ぜられて泡立っている。

「チンコも触ったるから、身体あげて自分で乳首触れ」
「んっ…ッ!ぅ゛ーーーッ!ふぅっ!は、ぁ…っ!」

パチュッパチュッパチュッ!ぐりゅぐりゅっぶちゅッ!プチュッ!

コスチュームの胸元をめくった出久が、両手で乳首を弄りながら腰を回す。
グリグリ、前立腺に俺のチンコを押し付けるように腰がくねっている。

「えろいなァデク先生は」
「…っ!かっちゃんの、スケベ…ッ!こんなえっちな服、好きだったのっ?!知らないッ!」
「ふーん…?」

出久はローションをグポグポ鳴らしながら腰を回している。中を広げるようにチンコが動くのが好きらしく、ちんこから出た先走りがコスチュームをグチョグチョに濡らしている。

「お前、この服がえろいと思うんだなァ?」
「はぇ、だって、えっちでしょぉ…っ?」
「じゃあ、ミルコん時も、そー思って着とったってわけか?淫行ヒーローがよォ」
「ち、ちがッ!ミルコのコスチュームはっ!ちゃんとしたヒーローの…ッ!」

出久のナカがきゅうきゅう締まる。自分でも反応してしまっているのが分かるのか、出久は焦ったように顔を振りながら、乳首を強くつまんで震えている。手元は快楽を追うのが止められないらしい。

「うぅ…っ!かっちゃんの馬鹿!すけべっ!へんたいッ!」
「あー?そうじゃねーだろ」
「知らないッ!も、せんのぉ、止めてよぉ!」

バチュンッバチュンッバチュンッピュルッびゅるるるっ!

「ふぉ…っ!おっ!ぉ゛ッ!ほぉ゛っ!とまらにゃ、ぁ゛っ!」
「おー、ッ、追い打ちかけられんの、好きだもんなァ?、いずく…ッ」

射精しながらも出久の腰は止まらない。ばちゅばちゅ強く腰を跳ねさせて、自分で自分を責め続けている。

「このふく、好きならッ!また着るからぁっ!止めてッ!かっちゃぁ、ッ!」
「あー、どうすっか、なァ…?」
「ばか!ね、もォ、止めろって、ばぁッ!」
「そーじゃねーって、なぁ?好きって言えや、ホラ」
「ぅ゛…っ!」

出久は乳首から手を離して、俺に抱き着いて来た。腰を跳ねさせながら、ぎゅうぎゅうと俺を抱きしめる。

「好きィ!すき、だいすきっ!」
「俺のチンコが?」
「おちんちん、しゅき、ッ!ぁ゛、う゛ッ!」
「チンコだけか?」
「かっちゃんが好きなのっ!ぉ゛!好きぃっ!すき、すき…ッ!ん、ぅ」

バチュッバチュッバチュッバチュッ!グリグリグリッ!びゅるっびゅるるるるるっ!!

出久を強く抱きしめ、キスをしながらチンコを思い切り出久の奥に叩きつける。
射精が全部中に出しきれるまで、ぢゅるぢゅる出久の口の中を楽しむ。密着した出久のチンコも射精したのか、腹を濡らしている。

「…ッ、…、ぁ、…っ」
「はぁ…、おれも、すげーすき」

窒息しかけていたのか、出久は真っ赤な顔で朦朧とこちらを見上げてくる。
全身の力が抜けて、もう勝手に腰も動かないらしい。


「かっちゃんのドスケベ」
「俺に抱き潰されんの大好きなヤツに言われたくねェ」

公安帰り、轟が見つけたらしい老舗の和定食屋でカツ丼を食べても、出久はずっと文句を言っている。
バニーコスチュームは隠蔽した。グチャグチャ過ぎて提出出来るもんじゃなかったし、別にアレ自体は普通のコスだったろ。たぶん。

「そ、れは…!そう、だけど…」
「ほーーーん?」

出久が行きたがってたグッズ店に来ても、買い物には集中出来ていないようだ。
いつもなら俺を放置して店内を動き回るところが、俺の隣でずっとモジモジしている。

「かっちゃんは、その、ミルコのコス着た僕を、えっちだって思ってたの…?」
「……まぁ…好きなヤツが着てたら…そうだろ」
「そ、そうなんだ……」

モジモジ、出久は俺の服の裾を掴んだ。少し赤らんだ顔を伏せて、店の出口へと俺を引っ張る。

「じゃあ、また着ても、いいよ…?かっちゃんが、好きなやつ…」

店を出て、駐車場への道を先導される。
俺は別に、服が好きなんじゃなくて、出久がエロいと思っただけだが。

「フーーーーーーーーーーン…」

出久は車の傍で俺を解放して、そそくさと助手席に乗り込んでいった。
近場にホテルあったか。昨日の今日でも許されるだろ、この流れは。

END

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