ヒーローごっこという名前のプロレスごっこだった。
かっちゃんに強制的にヴィラン役を押し付けられて、僕はぜったいにヒーロー役がいいから取っ組み合いになって掴みかかったり蹴ったりしてた。


「くらえ!!」
「いだっいたい!」

流れでかっちゃんの足が僕の股の間に突っ込んできて、いわゆる金的ってやつで思いきりドスドス蹴られて僕は悶絶して敗北した。
ヒーローのかっちゃんはその座を奪い取ろうとするヴィランの僕を見事にやっつけて勝利したわけだ。

「いずくはほんとよわっちーな!」
「うう…」

たぶんそれが最初。かっちゃんもまだ個性が出ていなかったはずだから、3歳くらい。
味をしめたかっちゃんは取っ組み合いの喧嘩になるたびに金的でマウントをとってきて、僕もやり返そうとしたけど足の長さも力も敵わなくて上手くいかなかった。
教師を目指しはじめて知ったことだけど、小さな子どもの生育の差は小学校の低学年あたりまで顕著に出る。3月産まれの子は4月産まれの子に敵わない。

かっちゃんに個性が出てからはヒーローごっこは爆破を使った一方的な蹂躙になったから、取っ組み合いも殆ど起こらなくなった。
僕の個性が出ないことが病院で分かって、一緒にヒーローやるって約束を守れなくなって「嘘つき」って嫌われて、かっちゃんは僕への当たりがどんどん強くなって距離も遠くなっていった。


小学5年1学期の最後の登校日、集団下校の群れに置いて行かれた僕は、大量の荷物を抱えてノロノロと炎天下を歩いていた。

「デェク」

通学路の途中にある公園の縁石に座っていたかっちゃんが僕の前に立ち塞がる。木漏れ日の下でも暑くて、かっちゃんも僕も汗だくだった。

「アソぼーぜ」

掴まれた腕がチリチリと痛む。怯んだ拍子に習字道具を落として、ガチャンと大きな音が住宅街に響いた。硯がまた割れたのかもしれない。

「ウチ来いよ」

すでに1度学校で他の子に硯を割られてお母さんに買い替えてもらっていたから、2度目は流石にいやだった。
一緒に買いに行った時に見た硯の値段は僕のお小遣いを越えている。こっそり買い替えておくこともできない。

「やだ」
「は?」

きっと家にはいじめっ子がたくさん居て、どんな目にあうか分からない。
今日はお昼のヒーロー番組も生で見れるから楽しみにしてたんだ。

「行かない」

掴まれた左腕を引っ張って、右手を伸ばして習字道具を拾い上げる。割れた硯が入っている時のガラガラとした感覚がなくて、ほっと息をついた。

「えっ」

グン、と左腕が引っ張られて身体が揺れる。

「持ってやるよ」

かっちゃんは僕の手から習字道具を奪うと、そのまま道を進み始めた。
ヒリつく左腕の火傷を思い切り強く握られてズキズキと痛む。

「返してっ」
「拒否権とかねーから」

狭い歩道で無理矢理腕を掴まれて、引きずられるようにかっちゃんの家へと向かっていく。
横に並ぶには道が狭すぎて、後ろに下がるにも腕を掴まれたままでは距離をとれない。

「分かった、行くから離してよ」
「黙れ」

かっちゃんのランドセルにぶつかる度に、左腕を強く引かれて火傷を痛めつけられる。
ヨタヨタとバランスがとれずに歩く僕に何度も舌打ちをしながら、かっちゃんは僕を家に押し込んだ。

「ドーゾ」

しんと静まり返った広い玄関で、家に誰もいないのだとすぐに分かった。靴は1つも出ていなくて、いつもならおばさんが出迎えてくれるのにリビングの方まで電気が1つもついていない。
かっちゃんが自分の靴を靴箱へ片付けている間に、僕も靴を脱いで隅に揃えた。2人きりで虐められることなんて今まで無かったから何が起こるのか分からなかった。
ひょっとして本当に遊ぶのかも、とは流石にもう思わない。

「上」

真っ暗な階段をかっちゃんは登っていく。その後ろをトボトボとついて登る。お互いのランドセルの革が擦れる音と、かっちゃんの手元の習字道具と、足音だけが響く。
2階は天窓から差し込む光で少し明るくて、それだけ余計に暑かった。
階段を登ってすぐの所にあるかっちゃんの部屋の扉が開かれる。
さっさと中に入っていったかっちゃんが、ランドセルを下ろしながらエアコンのスイッチを入れた。
ピ、という音が何度かして、かっちゃんが設定温度を下げる。慣れた様子でそのままカーテンを閉めると、遮光カーテンだったのか部屋の中は真っ暗になった。

「はよ入れ」

一歩中へ足を踏み入れる。この家で一番日当たりのいい部屋だからか、廊下よりさらに暑い。ニトロの甘い匂いが、むせ返るほどに暑い空気と一緒に全身を覆い息がし辛い。かっちゃんは窓際から扉へ戻ってくると、僕を部屋の中へと押し込みながら扉を閉めた。

「荷物その辺に降ろしとけ」

カーテンの隙間から零れてくる外の光がぼんやり部屋を照らしている。
ベッドの縁に立てかけられた僕の習字道具の隣に、一纏めに荷物を下ろした。
ゴォーという音と一緒に心地良い空気が肌を掠める。部屋の隅で最大限に稼働をはじめたエアコンが、大口をこちらに向けていた。

「わっ」

背中に衝撃を受けて倒れ込む。ニトロの澄んだ甘い匂いが頭いっぱいに広がって、ベッドに突き飛ばされたのだと分かった。
手をついて頭をあげると、黒いシーツに僕の汗の跡がついていた。パタリと音を立ててまた汗が落ちる。

「なあ」

慌てて起き上がろうと身体を起こすと、かっちゃんが傍に立って僕を見下ろしていた。

「お前精通してんの?」
「な」

かっちゃんは仰向けになった僕の股の間に脚を差し込むと、つま先で僕の股間をグイグイと押す。
後退りしようと腰を浮かすと、ちんちんの上に乗った足に体重がかけられた。ベッドに沈み、マットレスに挟まれて潰される。

「ッやめ」
「どうなんだよ」

あまりの痛みにかっちゃんの脚を抱えて固くなると、圧が軽くなってまたつま先で遊ばれるだけになる。

「そんなの、言わない」
「教えろよ」

ヒーローごっこの時のように無遠慮にドスドス蹴られるでもなく、ムニムニと刺激されるだけの繰り返しが気持ち悪い。
足を離そうと抱えている手に力を入れると、またギュウギュウと体重をかけられて涙が出るほどに痛みを与えられた。

「まーどうせガキちんぽだろーけど」
「ほっといてよ」

僕が嫌いなら構わなければいいのに。
乱雑に押され続けるちんちんへの刺激は腰全体をゾワゾワさせるほど気持ち悪くて、かっちゃんの脚に縋りついて何とか耐えるしかない。

「っ、」
「…勃起はできんじゃん」

固くなってきた僕のちんちんにかっちゃんは嫌な顔で笑って、足の指でそれを挟むように刷り上げた。

「しゃせーしてみろよ」
「やだ、できないから!やめてっ」

ちんちんの裏側を足の指が強く刷り上げる。痛いくらいに強い刺激で腰どころか頭もおかしくなりそうで、かっちゃんの足を押し返す。震える手で足を持ち上げようとしても、体重をかけられてびくともしない。

「いたい、こわいっ」
「手伝ってやるよ」

かっちゃんは足を降ろすと、ベッドに上がってきて僕の傍へと膝をついた。
後退りする僕を壁まで追い込んで、パンツごとズボンの前を引っ張られる。

「やっぱガキちんぽじゃん」
「やめてよっ!」

軽く立ち上がったちんちんを掴まれて、今度は優しく擦られる。
ゾワゾワが一気に腰から頭に響いてきて、かっちゃんの肩を思い切り押し返したらギュッとちんちんを握り込まれた。

「痛いのイヤだろ?」
「ぁ…ッ」

パチパチ、ちんちんを掴んでいない手が目の前で光る。
また擦り始めた手はどんどん速くなって、僕は逃げ込んだ壁伝いにのけ反ってベッドに倒れ込んだ。

「ゃだ、やだやだっ」

ゾワゾワが腰をガクガク揺らして、逃げたくて堪らないのに勝手に浮いた腰がかっちゃんの手に押し付けるように上がる。
ボロボロ零れてくる涙がベッドシーツに吸われていく。

「やめて、いや」

ゾワゾワが頭を揺らす。自分じゃこんなにおかしくなる前に触るのやめてたから、ゾワゾワが強過ぎて苦しい。

「漏れちゃうっもれちゃうからッ!」

がむしゃらにかっちゃんのシャツを掴んで引き寄せたら、よろけたかっちゃんが僕の顔の傍に手をつく。パタパタ、かっちゃんの汗が傍に振ってきた。

「ンっィ、い、…ッ!」

ピュルッ…
ゾワゾワが溢れるみたいにちんちんにせり上がってきて、傍にあるかっちゃんの腕に縋りつきながら震える。
ゾワゾワが出ていくのと一緒に頭のてっぺんがクラクラ捻じれたみたいに歪んでしまって、吊っていた線が切れたように浮いていた腰もベッドに沈んだ。

「……、」

空っぽになってしまったみたいに、何も考えられない。手も足も動かない。
涙がこめかみを伝って落ちていくから、薄っすら目をひらくと足元を見ているかっちゃんが視界いっぱいに映った。
視線の先をたどるとかっちゃんの手の平が僕のちんちんから離されていて、その手と僕のシャツのお腹が濡れている。

「…………」
「、かっちゃ」

かっちゃんはバッと弾かれたようにベッドから起き上がると、僕を無視してさっさと部屋を出ていく。
薄く開いたままの扉の向こうで、水道の音が聞こえる。手を洗っているらしい。
本調子になってきたエアコンの風が汗だくになった身体を冷やしていき、僕もようやく少しは頭が回るようになってきた。
濡れたままのちんちんをそのままパンツの中に仕舞う。気持ち悪いけど、仕方ない。
おしっこじゃなかった。ちゃんと精子が出たんだ、きっと。
でもこんな…、毎回おかしくならないと出せないなら、僕はオナニーを1人で出来る気がしない。

「……」
「…かっちゃん、あの」

水道の音がやみ、しばらくしてかっちゃんが部屋に戻ってきた。
正面からかっちゃんを見ることも出来ずに、俯いたまま声をかける。
部屋の電気のスイッチが入れられた。視界に広がるシャツは僕の精液で濡れていて、少し乾き始めている。エアコンが効きすぎてるみたいで、ちょっと寒くなってきた。

「…その、えっと」

パチンと音がして、ガラガラと何かが転がる音がする。かっちゃんはしゃがみ込んで、足元で何かを探っているようだ。
お礼を言うのは、違うな。嫌だったし。でも、上手く出来なかったオナニーを、教えてもらったことになる…のかな。

ギシッとベッドのスプリングが沈んで、見上げるとかっちゃんがまた僕を見下ろしていた。

「わっ!」

真っ黒な汁が降ってくる。僕のシャツを染めていくのは、習字道具の中にあったはずの墨汁だった。
かっちゃんは躊躇いもなくそれを僕に散らして、さっさとフタをしてベッドを降りていく。

「なにすんの!」

オールマイトのアイコンが黒く滲む。
慌ててベッドから飛び起きて、部屋の中央に立つかっちゃんを押しのけて部屋を出た。

2階の隅にあるトイレに駆け込む。広いトイレは独立した手洗い場と大きな鏡もついていて、精子と墨汁に汚れたシャツがよく見えた。

「…なんなんだよ」

シャツを脱いで洗面台で水道に流す。
墨汁は黒い水になって流れながらシャツ全体に広がって、綺麗に落ちそうにもない。

「ただいまー」

階段の下で玄関が開く音がした。カツカツと女の人の靴が鳴る音が数回響く。

「勝己ー?出久くん来てるのー?」

おばさんの声が聞こえる。シャツを絞って黒い水を切って、洗面台に広がった黒い汚れを指先で擦って流す。
ギュウギュウに絞ってシワシワになったオールマイトのシャツは、真っ黒のシミが薄く全体に広がってしまっていた。

「着とけ」

トイレの扉が素早く開いて、布が投げ込まれる。
広げると時々かっちゃんが着ていた黒いTシャツで、おばさんが階段を上ってくる音がして慌てて頭からかぶった。

「帰る途中でコイツが墨汁零したから洗わせとった」
「あら、出久くん大丈夫?開けるよ?」

ゆっくりと扉が開かれる。シワシワの汚れたTシャツを手にかっちゃんのシャツを着て立ちすくむ僕を、おばさんはしゃがんで優しく覗き込んだ。

「あーこれは…勝己袋持ってきて」

ン、と短く返事をしたかっちゃんが階段を降りていく。
かっちゃんにやられた、なんて僕が告げ口しないのを知っているから、かっちゃんは堂々としている。

濡れたTシャツをビニール袋に入れて、おばさんに連れられて団地に帰る。
お母さんはおばさんと僕を助けてTシャツまで貸してくれたかっちゃんにとても感謝して、後日洗い上がりのシャツと菓子折りを一緒に持って行った。

墨汁に汚れたオールマイトのTシャツは洗っても洗っても黒い汁が出てきて、結局捨ててしまった。
腕の火傷も薄く赤くなっているだけで、日焼けした肌では目立つことも無く痛みは誰にも気づかれなかった。


ゾワゾワの逃がし方を覚えられないまま小学校を卒業して、中学1年の冬休み。
別の小学校出身の子と1学期に仲良くなりかけて、同小の子達に無個性の出来損ないで虐められていたことがバラされて距離をおかれて、結局暇な休みを過ごしていた。

「デェク」

1人で隣の市までオールマイト展を見に行った帰り道、狭い歩道を歩いていたらそう声をかけられて、腕を掴まれる。

「アソぼーぜ」

両親がいない日に僕を連れ込んで遊ぶことは、中学に上がっても飽きないみたいだった。
嫌がったってケガさせられるだけだし、大人しく引かれるままに家に上がり込む。

「ン」

ベッドに腰掛けたかっちゃんの足元に座り込んで、目の前に出されたかっちゃんのちんちんに触れる。
口いっぱいに唾液を溜めてから、萎えたそれを口の中に入れる。歯を当てないように口の中を開きながら、唇は閉じて唾液がこぼれないようにちんちんをスッポリ覆う。

「んぶ…」

そのまま舌の上に亀頭を滑らせながら、喉の奥に入れていく。
えずいて喉がきゅっと痙攣するのに先が潰されて、僕の頭に乗っていたかっちゃんの手が髪を掴んだ。

「ぅぐ、ッ…」

ジュル…ジュプ…
固くなってきたちんちんから先走りの汁が溢れてくるのを掬いながら、舌先で入口をつつく。
汁がもっと溢れてくる。少し息をついてから思い切り吸い出すと、かっちゃんはギュウッと髪を引っ張ってから優しくトントンと撫でてくる。

「デク」

かっちゃんは僕の頭を両手で掴んで、ベッドから腰を上げた。
引っ張られるまま、膝を立てて身体を起こす。
喉の奥を開いて、精一杯鼻から空気を吸い込んで止めた。

「ぉっ、ゴッ、んぶッ、っ」

ゆっくりとかっちゃんの腰が僕の口に打ち付けられて、自分で迎え入れる時よりも奥にちんちんが入り込んでくる。
息苦しさと吐き気に耐えながら喉を開き続ける。かっちゃんの先走りと唾液が口の端から出てくるのを両手で顎の下にお椀を作って受け止める。鼻水と涙も一緒に流れ落ちて、そこそこの水溜まりが出来ていく。

「あー…」

グポォッヌポッヌポッガポッガポッ

「飲めよ」

ガツガツガツガツビュルッビュルルッ!

「んぶっンン…ッ」

喉の奥に出された精液が気道に入り込みながら、せり上がっていた胃酸と混ざる。咳で追い出そうと喉が痙攣する。
その痙攣すら味わうように頭を鷲掴みにされてピッタリ腰を口に押し付けられて、舌で追い出そうと舐めまわすことしか出来ない。

「んグ…ッふ…っ」

涙や鼻水やかっちゃんの精液でグチャグチャになった口から、糸をひいてちんちんが抜けていく。
かっちゃんは息をつくとまたベッドに座り込んで、枕元のティッシュを数枚僕へと放り投げた。
手のひらの水溜まりをティッシュに沁み込ませて、自分の鞄から出したビニール袋に捨てる。
肘でドアノブを降ろして廊下に出た。トイレの扉をまた肘で開けて、水道で手を洗う。
そのまま顔も水で洗って、うがいをする。ようやく満足に呼吸が出来るようになってくる。
冬の冷たい水を少し飲み込んだ。食道に張り付いていた精液が流れていく気がする。

部屋に戻る。ベッドでスマホを見ていたかっちゃんの足元に座ると、スマホから視線を外さずに組んでいた足が降ろされる。
精液に濡れたままのチンチンをまた口にいれる。なるべく刺激しないように舌で全体を舐めて精液を拭い、ティッシュで最後に拭き取った。

「今日は全部脱げよ」

スマホを枕元に置いたかっちゃんが立ち上がってズボンを直す。
いつもは僕もズボンすら履いたままだったのに。暖房が効いた部屋は寒くはない。僕は言われたまま服を脱いで、床に畳んでおく。
小学校から育ってないちんちんが少しだけ立ち上がってぶら下がっている。今日は上手く出来たほうだと思うから、痛くはされないと思う。

「なにそれ」

僕だけ全裸でベッドに乗る。かっちゃんはサイドチェストの引き出しからいくつか物を出して、僕の腰の横に置いていく。

「向こう向いてろ」

質問に答えるわけもなく、かっちゃんは僕の背中を押してうつ伏せにベッドへと倒した。
かっちゃんの匂いがするシールに顔が埋まる。かっちゃんに向けて突き出したお尻に触れられて、ビックリして丸見えの穴がキュウキュウ収縮するのが分かった。

「なにするの…ッ!?」
「動くな」

お尻に冷たいトロトロが垂らされる。かっちゃんの指が垂れていくそれを救い上げていくのが分かる。
マットレスのシーツを掴んで、全身が動かないように固まる。

「ッ…」

ヌルヌルするそれと一緒に、異物がお尻の中に逆流してくる。
怖くて収縮するお尻に苛立ったのか、後ろから舌打ちが聞こえた。

「ッ、ぅ」

ヌチッヌチッヌチッヌチッ
閉じようとするそこを無理矢理往復していく。中の壁をグリグリ引っかきながら差し込まれるのは、かっちゃんの指だ。

「ふ、ぅ、っ」

中に入ってくるときの異物感、圧迫感は顎が浮くような気持ち悪さで、出ていく時はそれが一気に消えていく。排泄する時の気が抜けるようなスッキリした感覚と混ざって、その落差に頭が混乱する。
ヌチュヌチュ音を立てながらそれが素早く何度も繰り返される。抜かれる時のお尻の緩みが段々と挿入ってくる時にも続くようになって、指に抵抗することも少なくなる。

「ッ、ぐ、ぅ…!」

しばらくするとスッと指が抜けていき、すぐにまた強い圧迫感がお尻に挿入れられた。
指が増やされた。太くなったそれはまた同じように中をかきながら出し入れされる。さっきよりも強い圧迫感と喪失感の繰り返しに頭がついていかない。
頬に冷たいものが触れて、自分の口から涎が出ていることに気付いた。
怒られる。そう思っても、迫ってくるナカの刺激に抗う術がない。

「ぁ、…ッ!?」

ちんちんが擦られる。お尻を出入りする指も止まることがなくて、強い刺激が前にも後ろにも与えられる。

「や、ァ…!んぎ、ッ!」

思わず腰を逃がそうと揺らすと、ギュッとちんちんが握られて中に入っていく指がまた増やされた。
広げられたお尻は避けたんじゃないかと思うほど痛い。中をぐりぐりとかき回されながらちんちんを擦られる。

「ぅう、ふ、ぅッ」

ズニュッブチュッブチュッブチュッブチュッ
3本に増えた指は空気がトロトロと混ざる音を派手にならしながら、お尻の中をかきまわしている。
亀頭をグリグリ指先で擦られて、気持ちいいのと痛いのが混ざっていく。
ちんちんへの刺激に腰が逃げると、今度はお尻を擦る指が強くされる。

「かっちゃ、ぁ、あ、ッ、ぅう~~~~ッ!」

ブチュッブチュッブチュッグポッズロォッ
お尻から垂れたトロトロがちんちんにも流れて、滑りが良くなった分強く擦られる。
痛いのに、ゾワゾワはちんちんからお尻にも頭にも広がって、気持ち良いでいっぱいになっていく。

「ひ、ィっく、イク、かっちゃ、あッ、~~ッ!」

ピュルルッ!

「ほ、ぉ…ッ!」

射精してる間もお尻をかき回す手は止まらなくて、ちんちんを絞られながら中からも精子が押し出される。

ヌチッ…

「ん、ぅ…」

指がお尻から抜けていく。すっかりバカになったお尻の穴はぽっかり開いてしまって、中に空気が触れてスースーして気持ち悪い。なんとか閉じようと力んでも、気を抜くとすぐに開いてしまう。
かっちゃんの目の前でそんなくぱくぱが起きていると思うと恥ずかしくて、なんとか閉じ続けようとギュウギュウと締めた。お尻に力を入れると、さっきまで中をまさぐっていた指の感覚が思い出されてお腹の中がゾワゾワしてくる。

「今日泊まるって親に連絡しとけ」
「………おじさんたちは…?」
「明日の昼まで帰ってこねぇ」

手を拭いたらしいティッシュがビニール袋に入れられる。
かっちゃんはベッドから離れて、洗面所へと去っていった。1人になったベッドでこれ以上汚さないようにそっと身体の向きを変えて、ティッシュでお尻とちんちんを拭う。

(今日友だちの家に泊まることになったよ)

お母さんへスマホでメッセージを送ると、すぐに嬉しそうなスタンプが返ってきた。
きっと夕飯を用意してくれてたのに、申し訳ないな。お腹すいたな。

カーペットへと降りてパンツを履く。上手く閉じれないお尻がきゅうきゅうする。

ティッシュでいっぱいになったビニール袋を縛って、リュックの奥に突っ込んだ。
新しいビニール袋をすぐ出せるように鞄の上部に引き出しておく。


「はー…ッ」

浴室の壁に吸盤ではり付けたディルドに腰を押し付ける。お腹の奥まで入ってきたそれを感じながら、少し息をつく。
オールマイトと出会った頃から、かっちゃんの家に呼び出されることが無くなった。高校に上がってからも、寮生活になっても、それが終わっても。

ヌチィ…

「ん、ぅ…」

床についた膝を少し広げて、ゆっくり腰をひく。中が擦られながらディルドがゆっくり抜けていく。
ディルドの張っている部分が前立腺を擦ると、触っていない前にゾクゾクした快感がビリビリ響く。

「ふゥ…ッ!」

ゆっくり腰を戻す。中の圧迫感が腰から頭に響いて、どんどん溶けそうになっていく。
勃ってもいない前から先走りが垂れた。顎に流れる涎を腕で拭って、浴室の床に置いた手と膝を壁に近づける。

ヌチッヌチッヌチュッヌチュッブチュッ

「んっ、ッ、ぅ、んっ、」

ブチュッブチュッヌチュッズチッヌチッ

「ひッ、っ、は、ぁ、っ、…ッ、は、ぁ、っちゃ、ッん、ーーーッ」

軽く勃ちあがっていた前からパタパタと精液がこぼれた。
腰がガクガク痙攣する。しばらくそのままの体勢でいると、中の収縮でまたディルドがいいところに当たって苦しくなる。

「ッハ、ァ…っ」

ヌロ…ヌチ…
頭を落として浴室の床に頬をつける。ゆっくりと腰も落とすと、中をすりながらディルドが抜けていった。
全身の力を抜いて洗い場に転がる。硬くて狭くて、すぐに全身が痛くなる。

高校に上がってから、かっちゃんと僕の関係は随分と良くなった。
普通の幼馴染といっていい関係になったと思う。タイミングが合えば一緒に登下校をして、他の友人たちと同じように会話をして、トレーニングに付き合ったり、寄り道をしたり。

中学までのかっちゃんの交友関係とも違う関係性のように思えた。あれは友人というより、悪友というか。つるんでいる、って表現の方が似合っていた。僕らはそういう関係では無くて、ただ幼馴染として程よい距離を保っている。

「、ン…ふ」

腰の震えが落ち着いてきて、中のゾクゾクした感覚も少しずつ薄れていく。身体が冷えるまえに、湯舟に浸からないと。その前に、シャワーで流したい。

中学の間、僕のお尻はかっちゃんに使われていた。オナホ代わり、ってやつだったんだと思う。
準備の手間はかかるけど、コストも処分の煩わしさもなかったから便利だったのかもしれない。僕は使われていくうちに前で射精することが少なくなっていって、1人でする時もお尻を触るようになっていた。
かっちゃんに呼び出されることが無くなってからもそれは変わらなくて、こうしてずっと1人で発散している。

最初はマジックペンだったと思う。手頃なサイズの物からはじめて、徐々に大きくして…、寮の大浴場で盗み見たかっちゃんのモノと同じようなサイズを探してた。

高校を卒業して一人暮らしをはじめてからは、適当な物じゃなくてオモチャを買えるようになった。
相変わらず記憶の中のかっちゃんのサイズと同じ大きさのものを買って、1人で慰めている。

「……、」

かっちゃんは謝ってくれた。一切僕に触れなくなって、その素振りすら見せない。
飽きたとか、他にいい相手が見つかったとか、そういうのじゃないのも分かってる。ただ僕を捌け口にすることを辞めてくれただけ。後悔して、僕がそれを忘れられるようにしてくれている。

サァァァ…
重い腰を上げてシャワーを浴びる。シャンプーで髪を乱雑にかきまわして、泡をそのままにボディーソープで身体も擦る。立ち上がると中からローションが垂れてきたから、指を入れて掻き出しておく。全身泡まみれになりながらスポンジで身体を擦って、シャワーで全部を一気に流した。

「ふー……」

湯舟につかる。濡れた髪からひっきりなしに顔にお湯が流れてくるのを、髪を後ろに撫でつけながら拭う。
41度に設定されたお湯から湯気が浴室中に広がって、流したばかりの汗がまた額に滲んだ。ポタポタとお湯か汗かわからない水滴が湯舟の水面へと落ちていく。

気持ち悪いな。教師やって講演会やってカウンセリングやって、みんなのお陰でヒーローに戻れて。メディアじゃ聖人君子みたいな扱いされて担ぎ上げられてる僕が、こんなオナニーで1人発散しているなんて。
吐き気がする。


産婦人科から一緒だったらしい俺と出久は、記憶に無い時から交流させられていた。親の息抜きに付き合わされて同じテレビや絵本を共有していた俺たちは、当然のように同じものを好きになった。ヒーロー、オールマイト。
将来の夢も同じだった。オールマイトみたいなヒーロー、事務所も一緒にやる。俺が1番で、出久は2番。出久は自分も1番になるんだって譲らなかった。それでも何故か俺が事務所の所長であることは受け入れて、いつも俺の後をついてきていた。
どんくさくてグズだったアイツをバカにしていたけど、俺自身も空想の中では出久と一緒にヒーローやってる姿を夢見ていた。

「出久君は今日は来れないみたいなの」
「なんで?」
「病気しちゃったって」
「ヒーローショー、一緒に行くって約束した」
「…はやく元気になるように、お土産買ってこうね」

正確には病気じゃなくて、無個性なことが分かって塞ぎ込んでいた時期だった。
土産に俺はオールマイトのグッズを買おうとして、親に止められてヒーローとは全く関係ない物を買った。

2人で約束していた夢だった。親は出久の前ではヒーローに関する話題を避けるようになって、リビングからは俺が散らかしていたヒーローグッズが消えた。出久の親はそれを察してか、家に出久を連れてくることも少なくなっていった。

先の先までスケジュールを見て全部一緒に行くはずだったヒーローショーも映画も、バラバラに行くようになった。毎週集まって見ていたアニメも1人で観るようになった。

裏切られた気分だった。4才の俺はそれが出久のせいじゃないってことまでは理解していながら、納得することが出来なかった。約束してたのに、アイツは裏切った。俺の事務所にアイツは入らない。孤独にさせられた。

それなのに、しばらくして公園に戻ってきた出久はヒーローごっこにまた混ざろうとした。
俺は裏切られて辛かったのに、アイツはまたヒーローを目指そうとする。
無個性のくせに。どうせ俺と一緒にヒーローしないくせに。夢見たって、結局ダメなんだろ。

「待ってよ、かっちゃん」

出久を見ていると、胸の辺りがジクジク気持ち悪くなるようになった。
俺が出久を虐めるようになったのはそれからだ。


精通は夢精で分かった。それ自体はよくあることだが、俺にとって問題なのはそこじゃなかった。
その時見た夢だ。幼少期に出久を虐めて泣かせていた時の、俺の脚や腕を掴んで泣いてこっちを見ていた顔。

元々俺の性格はクソだったが、決定的に歪んだのはその辺りからだったように思う。出久の存在の置き場所が見つからずに、ひたすらに拒絶しながらそれでも手放せなかった。
俺が何をしても耐えて、どんな目にあってもまた俺を呼ぶ出久が理解出来なかった。理解出来ないのに、それに甘えて好き勝手してた。どう考えても犯罪で、アイツは俺を訴えていいし突き放すべきだ。

「まだ席空いてっけど」
「入らないってば」

出久とのチームアップはやりやすい。スケジュールが詰まっている分こっちが合わせる必要があるものの、それを越える成果が出せる。細かく言わなくても先回りして俺の動きに合わせてくるし、火力を抑えなくても平然とついてくる。
でもそれだけなら事務所に誘う必要はない。チームアップする面子に合わせて動きを調整するのは当然のことだし、出久がいないと回らないような環境でもない。

「じゃあスケジュールのアカウント教えろ、同期する」

ただ俺が、出久を傍に置いておきたいだけだ。出久が麗日を選んで一緒になって、出久の人生の殆どが家族に向けられるようになったあとも、残りの少しが俺にも向けられるように。

「デク」

”出久”は別のヤツのものになっても、”デク”は俺のところに少しでも残るように。
今まで俺がしてきたことを思えば、それも出過ぎた願いだ。だからどうせ叶わない。デクは俺とヒーローはしない。

「もー、無理に決まってるでしょ」

出久はジト目になって俺を見上げる。
「未公開の打ち合わせも入ってるんだから」と口を尖らせて、俺に向けていた視線を足元へと下げた。

「わーってるわ」

デクが戻ってきて、こうして普通に話をしている。それだけで今までの俺の所業からするとおかしい状況ですらある。
ただ、出久が麗日と上手くやれてればそれでいい。俺はそれを邪魔しないようにしなければならない。

「かっちゃん」

出久は装備を解除したらしく、ナノマシンが身体から剥がれてケースのフォルムへと集まっていく。スーツに押し付けられてシワが寄ったシャツとスラックスで、出久は俺を真っ直ぐに見上げた。

「ちゃんと話そうよ」
「ア?」
「事務所のこと」
「…入る気になったんか」
「そうじゃなくて」

ローファーを履きジャケットを羽織った出久は、スーツの厚み分一回り小さくなってまた俺を見上げる。

「腹割って話すってやつ、やってみない?」
「ンだそれ」
「お腹空いたし…付き合ってよ」

出久に連れられてスーパーに寄って惣菜を買い込み、出久の家に上がり込む。
「いい加減にしろ」とか、「近づくな」とか言われるかもしれない。それならその通りにするしかない。
古いファミリー層向けマンションの中階層に位置する出久の部屋は、案の定オールマイトのグッズに溢れていた。リビングのショーケースの1つは俺達のグッズが棚板ごとに分けて飾られている。

「呑も」
「…酒かよ」
「貰っちゃってさ」

冷えた瓶とオールマイトのマグカップが2つテーブルに置かれる。日本酒の瓶には《要冷蔵》《生酒》とラベルが貼られていて、出久はそのラベルを引きちぎりながらフタを開けてマグカップに注ぐ。

「明日非番でしょ、たまにはさ」
「……ン」

成人した時に出久の家とウチで食事をして、出久の父親に勧められてコップ半分呑んだきりだ。
それ以来一切口に入れていない。味覚と嗅覚がおかしくなりそうな強い臭いと舌触りはそもそも好きではないと思ったし、それに頭を揺さぶられる感覚もヒーローである自分は避けるべきだと考えた。

「カンパイ」

出久はそれから大学の付き合いだとかで呑む機会が増えて、酔い潰れた姿も何度か見た。ヒーローに戻った今でも、講演会絡みの付き合いで呑むことはあるらしい。
呑まない俺でも違和感しかないマグカップに入れられた冷酒を口に入れる。思ったよりも多く入れられていた中身がカップの中で鼻に強烈な匂いを突きさして、思わず息を止めた。
横で出久が喉を鳴らして冷酒を呑んでいる。口の中に入れた冷酒が鼻にぬけて、粘膜が痛む。さっさと胃袋に落として、コップをテーブルに戻した。

「呑みやすいや、コレ」

出久はマグカップを片手にキッチンに向かい、惣菜を皿に移して電子レンジに入れた。
鈍いモーター音と共にオレンジ色に照らされながら回る焼き鳥を眺めながら、マグカップの中の冷酒をチビチビと呑んでいる。

「昔さ、約束したよね。バクゴー事務所に入るの」
「…覚えてたんか」

テーブルに乱雑に並べられたビニールに包まれたままの惣菜を空ける。割った割り箸をポテトサラダに突き刺したところでそんなことを出久が言い出して、芋とマヨネーズにまみれた箸を抜いてトレーに立てかけた。
マグカップに口をつける。どこがフルーティなんだか分からないほど強いアルコール臭が鼻を蝕んでいく。

「あの頃は夢だったからさ」
「今も願えや」
「はは」

笑いながら動いたままの電子レンジの扉を開けて焼き鳥を出すと、そのままトンカツを入れて扉を締める。
0になりかけていたタイマーをまた回して、焼き鳥の皿をテーブルに持ってきた。皿からネギマを抜き去ってキッチンに戻っていく。

「あの頃はかっちゃんが全てだったから」
「…そらそうだろ」

あれくらいの年齢なんて、家族と兄弟くらいしか他人とは触れ合わない。
お互いに兄弟がいなくて一緒に居ることが多かったんだから、親の次に依存する相手になるのは当然のことだ。
出久にとってはそれが4才で終わっている。俺だけは今もそれが続いている。

「かっちゃんもそうだった?」
「……まぁ」

カウンターの向こうで出久が肘をついて俺を眺めている。
マグカップの中をまた口に入れる。刺激にも少し慣れてきた。

チン、と音がして出久が電子レンジを振り返る。トンカツを取り出してリビングに戻ってくると、隣に腰を下ろした。枝豆を口に入れて鞘を容器の蓋にポイポイ投げ込んでいく。

「だから誘ってくれるの?」

正面に置かれたテレビのスイッチを出久が入れる。32だった音量が17まで下げられて、出久は画面を眺めながら枝豆の鞘を口に含んだ。鞘についた塩を舐めとる舌が視界の端に映る。

「小さい頃の、夢の続き?」

焼き鳥の皿からモモ肉の塩焼きをとって口に入れる。安い鶏の脂が強過ぎる塩気と一緒に口の中に広がる。酒の強烈な刺激に負けない味の濃さで、酒飲みが不健康になる理由が分かった気がする。冷酒で口の中を流すと、脂も塩気も一気に消えていった。

「ちげぇ」
「ほお」
「俺が今、オメーが欲しいから誘っとる」

出久の視線がテレビから俺に映る。合わさった視線はすぐに逸らされて、出久は手元の割り箸を割ってトンカツの皿へと伸ばした。

「そ、…か」

トレーの蓋に小袋のソースをあけてカツの先をつける。

「詳しく教えてよ」

「小皿ねーんかこの家は」と言い損ねた俺は、腹を割って自分の芋とマヨネーズまみれの箸でカツを挟んで、出久の手元のソースまみれのフタに突っ込んだ。冷酒で流し込んでも、ふやけて温まったカツは美味いとは思わない。


「いずく、…?」

いつの間にかテレビは放送休止時間になっていた。静まり返った部屋で出久が俺のズボンを降ろしてチンコに触れている。

夢か?

出久を呼び出すのを辞めてから何度も見た夢だ。夢の中の出久は中学だったり、高校だったり様々だった。私服の時もあれば、制服の時もある。ヒーロースーツを着ている時すらあった。
それが今は、シャツを着てスラックスを履いている。

「ッ、離せ」

俺の股に頭を埋める出久の髪を掴む。チンコが濡れた熱に包まれる。溜まった唾液の中で喉の奥までチンコを入れようとする出久の頭を力づくで引き離すと、零れた唾液が俺のズボンにパタパタと落ちた。

「なんで」

出久は汚れた顔をグシャグシャに歪めて、すぐに俺の手を振り払って俯く。

「出久、ッ!」

衝撃と共に、傍のテーブルの皿がガシャンと派手な音を鳴らした。カーペットに押し倒されて腹の上に出久が乗る。スラックスのベルトを外した出久が、俺の頭の傍に手をついてパンツごと脱ぎ捨てる。「はぁっ」と熱い息が耳にかけられて身体が硬直する。出久は俺を跨いで、萎えたままの俺のチンコに自分のを擦りつけた。

「やめろ」

出久の片手は後ろに伸びて尻を触っている。

「もうこんなことしなくていい」

出久の肩を押し返す。逸らされていた出久の視線がゆっくりと見上げる俺に合う。

「ッ、じゃあ、ぼくに構わないでよ…!」

でかい目に溢れた涙が俺の頬に落ちる。出久は尻を弄るのをやめて、俺の腹の上に座った。

「…ごめん、謝って済むことじゃねぇのも、分かってる」
「ちがう!謝ってほしいんじゃないッ!」
「出久が嫌なら、もう誘わねぇ…近づかねーから」
「っ!やだ…っ!いやだ、それもやだよ…」

パタパタと出久の涙が俺の腹に降る。俺の上で泣く出久は中学の頃にも何度も見た。
俺は出久のこの姿が見たいんじゃない。ただ一緒にヒーローがやりたくて、本当にそれだけのつもりだった。

「君は謝ってくれたのにっ…無かったことにしなきゃいけないのに!僕はずっと君を求めてるんだ…ッ」

出久は立ち上がって俺の上から退いた。背を向けて座り込み、膝に顔を埋める。

「何度も忘れようと思ったけどダメだったんだ…、だから、もうこれで終わりにして。もう誘わないで…」

身体を起こす。俯く出久に伸ばしかけた手を降ろした。俺が手を伸ばしちゃダメだ。

「…わかった、もう誘わねぇ」
「…っ」
「仕事も最低限にすっから。次のチームアップも取り下げる」

望むことすら間違っていたのは分かってた。俺は出久の近くにいるべきじゃない。

「っ、まっ、て…」

テーブルに置かれたスマホを手に腰をあげると、出久のくぐもった声が聞こえた。

「ン」

半端に浮いた腰をまた戻す。出されたままだったちんこをズボンの中に仕舞って、出久の方へ向き直った。

「…っ」
「どうしたらいい」

俯いたままの出久は膝から頭をあげない。出久が望むなら、拠点を海外に移してもいい。出久が望まなくても、本来俺はそうするべきだった。

「かっちゃ、ん」
「ん」
「いやだよ」
「なにが」

膝を抱えていた出久の手がそろそろと伸びて、俺の手に触れた。
隠されていた横顔が見える。酒で浮腫んだうえに泣き腫らし、涙と鼻水で濡れてグチャグチャになっている。

「いっしょにヒーローしたい…」
「……いいんか」
「でも、苦しいんだ…もう君は僕に触らないって、分かってるから」

出久はそろそろと膝から抜け出して、俺のところへと寄ってきた。

「…もう、出久の嫌がることはしねー」

出久の耳が俺の胸に当たる。慌ただしく鳴り続ける音を聞かれている。

「嫌じゃない、って言ったら、触ってくれるの?」
「…、」
「……どうしたら、君の特別なひとになれるの」

俺が何も言えずにいると、「気持ち悪くてごめん」と出久は呟いて俺から離れていく。
咄嗟に遠ざかっていく手を取ると、真っ赤に腫れた出久の目が俺の顔を捉えた。

「触っても、いいんか」
「へ、」
「…こんなの、お前にしか思わねーよ」

出久が俺の傍にまた座り込む。手を握ったまま上にのしかかると、出久は簡単にカーペットに縫い付けられた。

「いいんだな」
「ッう、ん」

手を離して身体を退げる。シャツの裾から覗いている出久のチンコに口をつけると、驚いた出久が俺の頭に触れた。

「かっちゃ、ッ!?」

そのまま口の中に含める。全部咥えても喉まで届かないそれを唾液で濡らしながら舌で転がすと、出久の手が髪を掴んだ。激しくするといつも泣いてもがいていたのを覚えている。

「ァ、っ!まって、ぅッ…っ!」

なるべく柔らかい刺激になるように、ゆっくりと舐る。出久の腰が浮いてちんこが口に押し付けられる。少し吸いながらわざと音を立ててジュポジュポ出し入れすると、つま先立ちになった出久の膝がガクガク震えた。固くなってきたチンコから我慢汁が溢れてくる。

「~ッ、ァ、これっ!だめ、ッ、ァ、ーーーッ!」

ピュ、と口の中に生臭い汁が出される。えずきそうになるソレを無理矢理飲み込んで、精液に濡れた出久のちんこを舐めとる。
視線を上げると出久が呆然とした顔でこちらを見上げていた。汚れた口を舌で舐めとると、ハッとしたように目を泳がせて口を震わせる。

「マズイな」
「ぅ、ん…」

口の中から喉にも食道にも張り付いたザーメンが気持ち悪い。薄くて量も少ない出久のでコレだから相当だな。
テーブルの上には空のトレーと瓶、マグカップが散らかっている。冷酒を冷やしていた氷が解けてすっかり水になっていた。少量のそれを一気に飲み干すと、うっすら残った冷酒の香りがザーメンの匂いを上書きしながら鼻を抜けていく。



「一回風呂入って寝る」
「え?あ、うん」
「その後続きな」
「へっ?!」

お風呂に連れ込まれて転がっていたディルドを見られた後、明け方にシングルベッドにギュウギュウに詰まって寝た。
昼過ぎに目が覚めて、出前をとって昼食を済ませた。片付けをして、食器を水切り籠にあげる。

「出久」
「なに?」
「…続き、してーんだけど」

後ろに立ったかっちゃんが僕の肩に頭を埋める。耳元に吹きかけるようにそう呟かれて、膝が震える。

「う、ん」

寝室に引っ張り込まれて、シングルベッドに2人で座る。
2人分の体重なんてかけられる想定じゃないマットレスがいつも以上に沈みこんで、少しバランスが悪い。

「いいんだな」
「…してよ、はやく」

かっちゃんはまた僕のを舐めて、僕がイった後にようやくお尻に触れた。
胡坐をかいたかっちゃんの前で立膝をつき、脚を広げる。かっちゃんの首に手を回してもたれかかると、脚の間にかっちゃんの手が入ってきた。お風呂場から持ってきたローションを使って、指が僕の中に入ってくる。

「あ…ッ!」

1本だけにしては、記憶よりもずっと太くて長い。僕の中が覚えているのは中学の頃のかっちゃんの指で、大人のかっちゃんの指は2本に増やされただけで圧迫感でいっぱいになった。

「増やすぞ」
「ぅ、…ッ」

3本はお尻が裂けそうになるくらいで、かっちゃんはゆっくりと指を動かす。
中を擦っていくゴツゴツした感覚が苦しくて気持ちいい。

「ん、…ふ」

かっちゃんの肩に埋まる僕の頭にかっちゃんが鼻を埋める。スゥ、と息を吸う音がして、くすぐったくてキュウキュウと中を締めてしまう。グチュ、と音を立てて、指が中をひっかいた。

「ぁ゛ッ…」

グリュッグリュッヌチッ

「ぅ゛っん゛ッ!っ!あ゛ッ」
「イケそーか」
「うんっイくッ!イク、ひ、ぁッかっちゃ、んっ!」

トロ、と先走りみたいに精液がこぼれていく。
昨日から射精し続けている僕のちんちんはもう勢いを失っていて、ゆるく勃ちあがったままお尻への刺激に合わせて震えている。

「はー…」

かっちゃんは抜いた指をティッシュで拭って、傍のゴミ箱へと投げ入れた。
力が抜けて僕がベッドに倒れ込むと、ゴソゴソとかっちゃんがズボンを脱ぐ。ディルドに被せていたコンドームの箱が鳴る。

「きっつ…」
「え…?」

「ハァ」と息をついたかっちゃんがこちらに向き直って、僕の膝を抱えた。
腰にぴったりとかっちゃんの身体があたる。お腹の上にかっちゃんのちんちんが乗って、僕のと擦れた。

「は」
「サイズ小せぇ」

かっちゃんのちんちんはパンパンに固くなって、コンドームの縁がめり込んで締め付けているようだった。その縁も根元まで届いていなくて、6割ほどで終わってしまっている。

「な…んで、そんな育ってんの」
「フツーに勃っただけだろ」
「普通じゃない!思ってたのとちがう…!」

1人でする用のディルドも、成長に合わせてアップデートしたつもりだった。寮の大浴場で見たかっちゃんのモノに合わせて買ったつもりで、記憶が頼りとはいえ、勃起したらこれくらいかな、とか、想像して買ってた。

「痛かったらやめるから言え」
「う…さ、裂けるかも」
「ゆっくりやる」

お尻に追加されたローションをかっちゃんがちんちんで掬う。
腰を掴んでいる手が震えているのが分かった。かっちゃんは眉間に皺を寄せて、震える手で僕の身体を掴み直す。
宣言通りにゆっくり挿入ってきたモノの圧迫感は初めて経験する大きさで、思わず息が詰まった。

「ッ…」
「出久」

閉じた瞼に押し出された涙にかっちゃんの口が当たる。
薄く目を開くと、眉間に皺を寄せたかっちゃんが僕を見下ろしていた。

「息しろ」

口に舌を差し込まれて、食いしばっていた歯列をなぞられる。
顎の力を抜いて隙間を作ると、その中にも舌が入り込んですぐに抜けていった。

「こっち見てろ」

こめかみを流れていく涙を追いかけて、かっちゃんが口を当てていく。
かっちゃんは僕の涙と口にキスをしながら、ゆっくりと挿入ってきた。

「出久」

かっちゃんの腰が当たる。押しつぶされるようにそれでもギュウギュウと中を押されて、結腸まで開かれそうになって全身が震える。

「かっちゃ、…好き、すきぃ…」
「…俺も、ずっとお前だけ」


ドチュドチュばちゅばちゅズチュッブチュッ!

「ぁ゛ッあ゛ッぁンっ!う゛ーーーッ!あ゛ッ!お゛ッんぃ゛っ!」
「はー…いずく…」

ドチュッドチュッごちゅっごちゅっごちゅっごちゅっパンパンッ!

「がっち゛ゃ、ィ゛グ、イ゛ぐぅ゛、ひぃッ!ぁ゛ッ!」
「ぁーでる…ナカ出してもいーか?なぁ」
「い゛い゛ッ!いーからッだしてぇ゛ッ!ぅ゛あ゛ッも、無理だからぁッ!」

ドチュッドチュッゴッゴッパンパン!ギシギシッ

「後で風呂で出してやるから、出たらもっかいな」
「ゃ、もうむり、無理、ぃぃっ、ィィイッ!」

ゴチュッゴチュッゴチュッゴチュッどぷビュルッビュルルッブヂュルルルゥゥゥウッ!


目が覚めたら朝の4時だった。月曜日、6時には家を出て学校に向かわないといけない。
シーツが変えられて綺麗に掃除されたベッド。身体も拭かれていて全身の筋肉とお尻が激痛なことを除けば爽やかな朝。

「んで、事務所にはいつ来んの」

ダイニングには味噌汁と炊き立てのご飯と浅漬けと焼き魚が並んでいた。お手本みたいな和朝食を2人で食べ終えて、コーヒーを飲みながらかっちゃんが口をひらく。

「え?ああ、入らないよ」
「ハァ!?」

食器を片付けて、手早くシャワーを浴びてスーツを着る。
かっちゃんは後ろを付きまといながらブツブツと文句を言い続けている。時折僕の寝癖や襟に手を入れて直しながら、ガミガミを騒ぎだてる。

「一緒にヒーローしたいってのはどうした」
「やだ、って言ったのに、やめてくれなかったし」
「そ、れは仕方ねーだろ!何年振りだと思ってんだ」
「オジサンくさい」
「ア゛ァ?!」

いつも通りのキレ顔で玄関に立ち塞がるかっちゃんにの頬に軽くキスをして、靴箱から取り出したスペアキーを翳した。

「少なくとも、今の子達が卒業するまでは、ね」

かっちゃんの胸に鍵を押し付けて、「行ってきます」と声をかけながら部屋を出る。
扉の向こうで微かに「いってら」と聞こえたので、痛む腰の分は許してあげることにする。

その日の実技の授業は散々で、相澤先生に不調なら休めと小言を言われるほどだった。

やっぱり許さないべきかと思いながら帰宅したら、荷物が全部運び出されてがらんどうになっていたので、そのままの足で僕はバクゴー事務所に殴り込みに行くことになる。大喧嘩しながら同じタワーマンションに入っていく僕らは当然のように撮られて、週刊誌どころかSNSにも拡散された。

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