「からだ先にあらえよ!」
「うん……」
幼稚園のお迎えの時間に、お母さんが来なかった。
電話越しに「かっちゃんのお家にお泊まりしてね」と言われて、僕はお泊まりが嬉しいはずなのに、何も言えなかった。お母さんは「ごめんね」とだけ言って、電話は先生に持っていかれてしまって、かっちゃんと一緒に、かっちゃんのお家に来た。
叔母さんが病気、って言ってた。叔母さんのことはあんまり覚えてないけど、きっと辛い目に遭ってるんだと思うと、僕も悲しい。
だから、我慢しなくちゃいけない。お母さんが居なくて寂しいけど、叔母さんの病気の方がもっと辛いと思うから。
「いずく?」
「うん……」
かっちゃんは年長さんになったから、お風呂は一人で入ってるんだって。
僕はまだお母さんと一緒に入ってる。ちゃぷちゃぷするのは大好きだけど、お母さんが居ないと、かっちゃんちの大きなお風呂はちょっと怖い。
「ほら」
「え?」
目の前にオールマイトの形をしたスポンジが差し出された。頭のてっぺんと足の先っぽから紐がついていて、かっちゃんはそのスポンジをクシュクシュ潰す。
みるみる泡がたって、オールマイトは真っ白に膨らんだ。
「すごい!」
「いーだろ!俺のやつだけど、トクベツに使わせてやる」
「うん!」
かっちゃんから受け取ったオールマイトのスポンジで、腕をなぞる。白い泡でムキムキなオールマイトは結構柔らかくて、ゴシゴシしても痛くない。
首の周りもゴシゴシしたら、なんだか強くなれた気がした。お腹も足もゴシゴシして、オールマイトのパワーをもらう!
「シャンプーつかう」
「あ、うん」
かっちゃんは僕に椅子を貸してくれたから、立ったまま僕の横に腕を伸ばして、ボトルからキュポキュポとシャンプーを出した。
ツンツンな頭がみるみる潰れて、あわあわになっていく。
僕は泡から飛び出している紐を持って、オールマイトを背中に回した。おうちにあるやつはタオルみたいになってるから、いつも通りにやるとオールマイトがコロコロしてしまって上手くいかない。
「へたくそ」
「だってこれ、上手く出来ないよ?」
「貸せ」
かっちゃんは僕からオールマイトを取り上げて、僕の後ろに膝をついた。スポンジが背中に当てられて、強い力で擦り付けられる。
「痛い!」
「あ?甘えんな!強くなれねーぞ!」
「痛っ!優しくしてよぉ!」
かっちゃんは両手でスポンジを持って、ぐいぐい僕の背中に擦り付ける。耐えられなくて前のめりになった僕は椅子から転げ落ちて、お風呂場の隅に逃げ込んだ。
かっちゃんは泡まみれのオールマイトを握って呆れた顔をしている。
「よわっちーな」
「いつもこんなに痛くないもん……」
かっちゃんはそのまま、泡まみれのスポンジにボディソープを足して、自分の身体を擦り始めた。器用に背中にもオールマイトを擦り付けて、すぐに洗い終わってしまいそうだ。
僕も身体についた泡を流して、シャンプーを2回キュポキュポと手のひらに出す。かっちゃんの頭とおんなじ匂いがする。
「はやくしろよ」
「うん」
目を瞑って髪を洗っていると、後ろでザバザバとお湯が流れる音がした。その後すぐに、ちゃぽんと湯船が揺れる音がする。
僕は目を瞑ったまま、手探りで元いた椅子を触って、その上に座り直した。お母さんに言われてるとおりに、耳の後ろと首の後ろもしっかりしゃかしゃかする。
「流すぞ」
「え?んぶッ」
湯船の方から声がしたと思ったら、頭上から勢いよくお湯が落とされた。溺れそうになりながら必死で顔に流れてくるお湯と泡を拭うと、続けざまにまたお湯が落とされる。
「おぼ、っ溺れちゃうよ!」
「はよ入れ」
「……」
僕が怒りながら湯船に顔を向けると、かっちゃんは湯船の端に寄って僕のスペースを空けてくれた。僕は空いてる方の湯船に沈んで、かっちゃんと向き合って座る。
「お前さぁ」
「?」
かっちゃんは僕のことをじっと見ている。僕はなんだか恥ずかしくて、かっちゃんの視線から隠れるみたいに足を立てて身を縮めた。かっちゃんはその足を押し除けて、じりじりとこっちに向かってくる。
「それどーなってんの?」
「それ?」
「乳首」
「ち……?」
前に置いていた手を退かされて、かっちゃんは僕の身体をじっと覗き込んだ。お湯に沈んでいたおっぱいをギュッと摘まれて、僕はびっくりして背筋が伸びる。
「ヘソみてーになっとる」
「お、おっぱいが?へん?」
「乳首ねーじゃん」
確かに、目の前のかっちゃんのおっぱいと僕のおっぱいは少し違っている。かっちゃんのは突起みたいなのがついてるけど、僕のにはない。
おくちみたいにムッと閉じてて、平べったくなってる。でも、お母さんは何も言わないし、お医者さんにだって変だって言われたことないし、普通だって思ってた。
「お前個性もねーのに、乳首もねーの?」
「あ、あるよ!」
「ねーじゃん。変なの」
「変じゃないもん!」
かっちゃんは僕のおっぱいのムッとなってるところを爪でカリカリする。隙間からスルッと指先が中に入って、かっちゃんはオモチャを見つけた時みたいに「お」と嬉しそうな声を出した。
「中なんかあんぞ」
「な……なんか、やだよ」
僕のおっぱいに中身があると分かって、かっちゃんはお湯をちゃぽちゃぽしながら、楽しそうに僕のおっぱいの隙間に指をグリグリと入れようとしてくる。
ゾワゾワして、僕はかっちゃんの肩を掴んで必死になって耐えた。かっちゃんの指が僕のおっぱいに入ってる、なかを触られると、背筋がゾクゾクする……!
「中硬くなってきた」
「かっちゃ、変だよっ」
「なんかあるな」
「ねぇ、っ!?」
じゃぶんと身体を沈めたかっちゃんは、僕のおっぱいに口を当ててがぶりと噛みついた。痛いと思う前に、強い力で吸い付かれて身体が固まる。
ジュッ!ジュルルルルルッ!!
「ふぉ……!ゃ、あっ!」
「んぶっ」
かっちゃんの頭を掴んで必死に耐える。かっちゃんは僕のおっぱいに顔を寄せたまま、まじまじと噛みついたところを見つめていた。
「ちくびでてきた」
「え、?」
「おもしれー」と、かっちゃんは楽しそうに僕のおっぱいを指で弾く。
くっきりついた歯型の間で、真っ赤になった先っぽが飛び出てきていた。かっちゃんのおっぱいよりもなんだか大きくて、前に突き出している。
「中に隠れとるんだな」
「そ、そーなの?」
かっちゃんは出てきた僕のおっぱいの先っぽをもう一度ちゅうと吸って、めいっぱいに立ち上がったのを見て満足そうに笑った。
「こっちも出したる」
「え、でも、」
「いーからじっとしてろ」
まだ隠れたままのおっぱいにかっちゃんが爪を立てる。グリグリと弄られて中にお湯が入ったところで、「そろそろ出なさいよ」と脱衣所からかっちゃんのお母さんの声が聞こえてきた。かっちゃんは怒ったように舌打ちをして湯船から立ち上がる。
「後でな」
「え、あ」
「出るぞ」
かっちゃんの部屋には、かっちゃんのベッドの側に僕の布団も並べてもらってる。
僕ははじめて見た僕のおっぱいの先っぽにそっと指で触れながら「うん」と返事をして、湯船をあがった。
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